泉谷 直木

アサヒグループホールディングス
社長

傘下のアサヒビールを筆頭にビールや清涼飲料、食品などグループ約80社を束ねるアサヒグループホールディングス（GHD）のトップ。主力のビール系飲料のシェアではキリンビールを抑えて首位を維持するが、国内市場縮小という大きな課題に直面する。カルピスなど国内外でのM＆A（合併・買収）を指揮し成長の青写真を描く。
アサヒのビール系飲料のシェアは1〜6月で37％強と4年連続のトップ。入社当時に味わった「下位メーカー」としての悔しさがバネとなっている。企業広報畑が長く、「スーパードライ」のヒットを広報企画課長として支え、テレビCMでは作家の落合信彦氏を起用。「1日の仕事の締めくくりに飲むビール」との商品像を訴えた。
誰もが認める読書家で、労働組合専従の時には約150冊の「活動報告書」を片っ端から読みあさり、組合の古参や会社経営陣と対等に話をできるようにした。数字に強く、自社の業績はもちろん、マクロ経済指標などに精通する。
住友銀行（現三井住友銀行）出身の村井勉氏、同じく住友出身の樋口広太郎氏、アサヒ生え抜きの瀬戸雄三氏……。歴代の名物経営者から多くのことを学んだ。今は自分が講師となり、新聞を使って「君がこのA社の経営者だったらどんな手を打つか」と、厳しく問いかけることで幹部育成に励む。65歳。

（2013年9月17日／日本経済新聞 朝刊より）

略歴

昭和23年8月9日、京都府生まれ。